地震や土砂災害などの自然災害や地下鉄サリン事件や秋葉原無差別殺傷事件、911などのような人為災害が起きた時に怪我の重症度に関係なく多量の怪我人が発生することになります。あまりにも怪我人が多く医療スタッフが足りなくなってしまったり、近くの医療施設も被災してしまって医療の供給が十分にできない場合、医療の需要が供給を上回っている状況における医療の急性期や初期のことを災害医療といいます。災害医療の最大の目的は防げたはずの災害死をなくすことです。医療の供給バランスが崩れることで起こってくる不測の事態にも対応する力が求められます。
救急医療とはどう違うのでしょうか。実際、災害医療に中心となって関わってくるのは救急医であることがほとんどです。トリアージを行い優先度を見極めて優先度の高い患者に対しその場で行える最低限の医療を提供すること、また急性期の医療に他の分野の医師や看護師より慣れているからです。しかし救急医療との違いは患者の人数です。救急の場合は1人に対して大勢のスタッフで対処しますが災害医療の場合はそうはいきません。とにかく供給を増やすことが災害医療の重要な点となります。日本では災害が起きた時の責任は行政の長が負うことになっています。災害対策本部を仕切るのは災害の規模に応じて、市町村長、知事、内閣総理大臣へと変化していきます。防災基本計画を基に行政や公共機関は防災業務計画を、地方は地域防災計画を作ります。